私たちの研究の概要

 

物質には単分子としての性質と集合体としての性質があります。21世紀には単分子とコンピューターをつなぐインターフェイスが開発され、様々の分子デバイスが開発されることでしょう。それはさておき、集合体にも結晶、液晶、液体、気体、アモルファス、プラズマなど様々の状態があり、物質はこれらの状態に応じた物理的性質を示し、これに応じたデバイス開発が進められています。又、物質の集合体を小さな集合体にしていくと、ナノ粒子、ナノ結晶などと呼ばれる状態になり、物質によってはナノ粒子特有の構造を持ち、特有の物理的性質を示すようになることが最近の研究から明らかにされつつあります。
 分子の配列には配向の秩序(分子が長軸を揃えて並ぼうとする性質)と並進の秩序(分子が層構造を持って並ぼうとする性質)を維持しようとする場合があり、この様な状態を液晶と呼んでいます。その時、分子は図1のように並んでおり、図1.1の状態をネマチック、図1.2の状態をスメクチックと呼んでいます。この状態を偏光顕微鏡で見ると図2.1と2.2の様に非常に美しい模様が見られます。図1.2のような分子の層構造はLB膜でも見られます。
 さて、ネマチックの状態では二つの状態が可能で、分子の光学的、電気的、磁気的性質はかなり異なります。電場を印加すると分子の並びを変化させることが出来、これを応用したのが液晶表示デバイスと呼ばれるものです(図3)。強誘電性液晶を利用した表示デバイス(図4)も注目されています。
 私たちは分子が液晶と呼ばれる異方性配列状態を示すためにはどのような条件が必要かを考えながら、下のような研究を進めています。

1」新しい液晶表示材料の開発
2」液晶性ナノ粒子の作成と電子デバイスへの応用
3」高分子液晶材料を利用した電子デバイスの開発
4」高分子液晶材料を利用したLB膜の作成と電子デバイスへの応用
5」強誘電性液晶材料の開発
6」分子の液晶性と幾何構造の関係

 失敗にめげずに根気強く研究を続けることができ、何か新しい物質を創って見たい、新しい専門技術を身にたいと思っている人を歓迎します。化学合成、様々な分析技術、電子技術などの専門技術を身につけると、将来いろいろな分野で活躍することが出来ます。