サンエス石膏株式会社　技術研究所

佐藤　晶子　　　平成11年3月　大学院博士課程前期課程修了

　私は、このコメントを書くに当たり学生時代に『何を学んだか』考えました。確かに、専門的な知識を得るために勉強をしたのはもちろんです。しかし、その学んだ知識は、専門外の会社に就職する人もいるでしょうから、全て会社で生かされるとは限りません。学生時代に『何を学んだか』それは、『考え学ぶ姿勢』だと思います。『考え学ぶ姿勢』があれば、どんなことにも対応していけると思います。専門外の事でもなんとかして自分なりに考え学ぶ姿勢があれば、道は開けていくものです。また、そういう姿勢で物事に取り組んでいけば必ず周囲の人が手を貸してくれます。就職してからも学ぶことはたくさんあります。それらを学ぼうとする姿勢が必要です。

是非皆さんも物事に取り組む姿勢を学んで下さい。

また、学生時代にたくさんの友人を作って下さい。友人は自分の知らない世界を知っていたり、知らない知識を持っていると思います。だから多くの友人を持っている人は、より多くの世界や知識を広めることが出来ると思います。また、友人を大事に出来る人は自分が困ったとき助けてくれる人がたくさんいることでしょう。

残りの学生生活を有意義に過ごして下さい。

日立金属株式会社 電子部品工場 技術部設計グループ

安藤 貴之　（平成9年3月　大学院博士前期課程修了）

(I)現在の仕事の状況
磁気を用いた情報記録装置は、最近特に技術の進歩が著しく、高性能化が進んでいます。私は現在、ハードディスク装置の中で使われる重要な電子部品の研究開発と量産化に携わっています。就職してわずか１年後から、国内のみならず海外へも何度も出張するなど、責任のある仕事を任され、多忙ながらも第一線のエンジニアとして充実感に満ちた日々を送っております。


(2) 機能材料工学科で学んで思うこと
　機能材料工学科の卒業生は、多方面の材料について基礎的な事柄を学んでいるので、他の材料系学科（電子工学科、機械工学科、化学工学科、物理学科など）の出身者に比べると、物理・電気・化学のかなり広い分野について柔軟に対応できる能力が身についていると私は思います。したがって、私の場合でも、仕事において遭遇する大抵のことに対して、まったくのお手上げ状態といったことはほとんどありません。このことは、私が就職して実感したことです。
　ただし、実際の仕事においては、かなりの専門的知識と経験が必要であり、他学科の出身者は、それぞれの専門分野について在学中にそれなりの知識を習得して卒業していることも事実です。したがって、機能材料工学科の学生は、事情が許す限り大学院などに進学するなど、深い専門性も習得するように努力することを私は後輩に強く勧めたいと思います。
　就職して実際に感じることは、工業の分野では常に時代を先取りした新しい知識の習得と、未経験の技術分野についても対応できる柔軟さがエンジニアには要求されていることです。私は、幅広い分野への対応できる基礎を身に付けて卒業したことを自分の大きな武器として、今後も自己研鑽を積みながら、一流のエンジニアとして活躍したいと思っています。


(3) 大学生活、社会人になるまでの心構え
大学での生活については、勉学が最も重要ですが、それ以外にも幾つか活動することができる趣味やスポーツなどがあるとより充実すると思います。私自身、中学、高校とバスケットボールを続けてきましたが大学では体育会には入りませんでした。その一方で、宇部市のバスケットクラブチームに籍を置き、市内の大会、県内の大会などに出場し、いろいろな人と交流を持つことが出来ました。また、関東方面の人にはほとんど知られていませんが、冬になると広島県にあるスキー場によく出かけていき、多くの仲間とスキーを楽しんだりもしました。 技術系で就職した者にとっては、就職後は会社中心の生活となってしまいます。学生の頃のように時間を自由に使うことは難しくなります。卒業論文、修士論文を作成する頃には、研究室を中心に生活することになりますが、技術屋として就職する場合にはそれが大きな経験となり、仕事をする上での自信にもなります。 どうか学生時代の過ごし方や時間の使い方というものをよく考えて下さいと、第1期 生として機能材料工学科の後輩にアドバイスしたいと思います。

三晃特殊金属工業(株)　中央研究所

岡原　宗敏　（平成9年3月　大学院博士前期課程修了）

私は平成9年に大学院工学研究科機能材料工学専攻を修了後，三晃特殊金属工業(株) に就職しました。当社は山口県岩国市に本社があり，岩国市，下松市，岡山県笠岡市，福岡県北九州市，愛媛県松山市に工場を持ち，工業用メッキおよび溶射などの表面処理全般と産業用機械の設計・製作を行っています。

　在学中は物性制御研究室に所属し，主に真空装置を利用した金属薄膜の作製とX線回折法による薄膜の構造解析について研究をしました。卒業後の進路については在学中に学んだ事柄が多く生かせる分野に就職したいと考えていましたので，金属の表面加工を行っている会社を志望し，当社に入社しました。


　入社後は中央研究所に配属となり，新たな表面処理加工法や品質のレベルアップを テーマとして研究を行っています。現在，私が取り組んでいるテーマの1つとしては無電解メッキ法を利用してプラズマディスプレイのガラス基板上に電極形成を行う技術の確立があります。この技術における最大の課題は40インチ以上の画面と同じ大きさのガラス前面に欠陥のない一様な金属皮膜を形成しなければならない点ですが，やっとその解決の糸口が見えかけてきましたので実用化まであと一歩というところです。また最近では，カーボン素材に溶射を施工できないだろうかというニーズに対応すべく検討を重ねています。


　機能材料工学科では身の回りの製品を形作る材料の性質・特徴を講義や実験を通じて広く知ることができます。このことは色々な素材を表面処理しなければならない(メッキ・溶射の施工は金属ばかりでなくプラスチックやガラスにも可能です)私たちの職種には非常に大切です。学生時代にさまざまな材料について学ぶことが出来たことは今の私にとって非常に有用であったと思っています。

富士通シンター株式会社　開発技術部

原　俊弘（平成11年3月　学部卒業）

　私は平成１１年に機能材料工学科（材料設計基礎学教育分野）を卒業後，富士通シンタ−株式会社に就職しました。当社は富士通株式会社の連結子会社で，本社は神奈川県川崎市の富士通株式会社川崎工場内にあります。当社の工場は川崎工場と福島県いわき市のいわき工場があります。焼結，超硬製品，各種精密加工品および電子機器類の開発・設計・製造を主な事業内容としています。また、最近ではチクソモールディングによるＭｇを使ったノートパソコンの筐体を製造しています。


　この様な会社で、私は入社して１１月までの約半年間、いわき工場でエンジニアリング部に所属していました。ここでは、メカ、ハード、ソフトの３つのグループに分かれており、設計、試作機の製作、自社製品の開発などを行っています。この中で、私はメカグループに所属し、３カ月間の研修の後ＣＡＤを使っての図面の作成、製品の組み立て、試験等を行いました。また、人工衛星に使用される装置の地上試験のに用いられる冷却装置の設計を行いました。


　現在は、１１月から本社工場に転勤になり，開発技術部で、新しい製品、技術の開発を行っています。まだ転属して間もなく主な業務は行っていませんが、ノートパソコンの筐体、MCM用基板の開発といったことを行う予定なので、その際に，在学中に学んだ金属、セラミックス等に関する基礎知識が役立つと考えています。今後とも，これらの基礎知識を活かして、製品、技術の開発の分野でモノづくりにたずさわっていきたいと思っています。